《職場の教養に学ぶ》
お題:秋は夕暮れ
2026年11月7日(土曜)
【今日の心がけ】繊細な心を育みましょう
砂川昇建の思うところ
清少納言の「秋は夕暮れ」は、平安時代の随筆「枕草子」の冒頭に登場する、大変美しい一節だそうです。「枕草子」は、今から約1,000年前、平安時代の中期に清少納言によって書かれたそうです。清少納言は、四季それぞれの美しさを描いています。春はあけぼの(夜明け)夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて(早朝)、特に「秋は夕暮れ」には、日本人が古くから大切にしてきた、自然の美しさと、移ろいゆく時間への感性が表れています。原文は、秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。(和訳)秋は夕暮れが美しい。夕日が沈みかけ、山の稜線に近づいていく頃、カラスが寝ぐらへ帰ろうとして、三羽、四羽、あるいは二羽、三羽と急いで飛んでいく。その姿さえ、なんとも心にしみじみと感じられる。まして、雁が列をなして飛んでいく姿が、遠くの空に小さく見える様子は、実に趣深い。太陽がすっかり沈んでしまった後、風の音や虫の鳴き声が聞こえてくる。その美しさは、もはや言葉では言い表せないほどである。私は、この文章の素晴らしさは、単に秋の夕焼けを美しいと表現したことではないと思います。注目したいのは、時間の経過とともに、美しさの対象が変化していくことです。最初は夕日という目に見える美しさから始まります。次に、寝ぐらへ帰るカラスの姿に目を向けます。さらに、遠くの空を飛ぶ雁の群れに心を奪われます。そして、日が沈むと、今度は目に見えない風の音や虫の声に美しさを感じます。つまり、視覚の美しさから、聴覚の美しさへ。この変化を、わずか百数十文字で表現しているのだそうです。私は、元日の早朝、戸田橋で初日の出を見るのが恒例ですが、雪景色の富士山と朝日に染まる河川敷と飛び交う鳥たち、そして寒い冬の朝の静寂が心に染み入ります。この場所は、私が苦しい浪人時代を過ごした場所なのです。その時のハングリー精神を忘れないように、毎年ここにやってきます。
著者 砂川昇建




