《職場の教養に学ぶ》
お題:病気を診ずして病人を診よ
2026年5月14日(木曜)
【今日の心がけ】要望に応える働きをしましょう
砂川昇建の思うところ
「病気を見ずして病人を見よ)」は、「病気そのものだけを見るのではなく、病気を抱えている「人」を見なさい」という意味の言葉です。医学や看護の世界でよく引用される考え方で、たとえば同じ病名でも、年齢、性格、生活環境、不安や価値観、家族関係、によって、その人にとっての苦しさや必要な支えは全然違います。だから「この病気にはこの治療」と機械的に考えるだけではなく、「この人は何に困っているのか」「どう生きたいのか」まで含めて向き合うことが大切だ、という人間中心の医療の姿勢を表しています。私達、ITアウトソーシング業界においては、顧客が「人手不足だからSEを3人増やしたい」と言ったとします。ここで「病気」だけを見る会社は、人員を出す、単価交渉する、 契約を結ぶ、で終わります。でも「病人」を見る会社は、なぜ人が足りないのか、現場の設計が崩れているのか、属人化しているのか、PMが疲弊しているのか、本当に必要なのは人員か、自動化か、まで見ます。すると結果として、無駄な増員を防げる、顧客の信頼が深くなる、“代替不能なパートナー”になれる。単価競争から抜けやすい。という因果関係が生まれます。デザイン業でも同じ、顧客が「UIをかっこよくしたい」と言っても、本当の課題は、売上低下、離脱率、社内政治、ブランド不一致、現場オペレーション、かもしれません。表面要求だけ処理するデザイナーは「作業者」で終わりますが、背景まで理解するデザイナーは「戦略パートナー」になります。ここに単価差と継続案件の差が出ます。この言葉は結局、「問題を解決するな。問題を抱えている人を理解せよ」という思想です。現代のIT業界では特に重要で、AI、自動化 オフショア、低価格競争、が進むほど、単純作業は代替されます。逆に残る価値は、文脈理解、感情理解、現場理解、利害調整、本当の課題発見、です。つまり「病人を見られる会社」が、最後まで残ります。
著者 砂川昇建




