《職場の教養に学ぶ》
お題:親孝行
2026年1月13日(火曜)
【今日の心がけ】具体的な目標を立てましょう
砂川昇建の思うところ
「親孝行」とは実に心にしみる言葉です。ですが、現実には、介護や入院などのステップに入ると綺麗ごとではすみません。「孝行したいとき、親は無し」と言いますが、この言葉は感情論として語られがちですが、実際には「時間・体力・判断力・お金が同時に必要な時期は短い」 という冷酷な現実を表しています。親が元気なうちは「孝行は後でいい」「親が弱る頃には、子は仕事・家庭・責任の真っ只中」いざ向き合おうとすると、親は判断力を失うか他界する。つまり、孝行できる“適齢期”は思っているより短いという警句です。親孝行は「気持ち」だけでは成立しないです。私の経験上、「孝行したいが、金はなし」これが多くの人が直面する現実だと思います。そして「時間が無い」と言い訳します。なぜお金が不可欠なのか、介護施設・老人ホーム:月額15〜30万円以上。在宅介護:住宅改修・介護用品・ヘルパー費用。通院・入院:保険外費用・交通費。何より時間=収入減。親孝行とは、実質的には「親の人生の最終局面を支えるプロジェクト」であり、資金と調整力が必要です。介護の為に、会社を辞める人がいますが、代替可能な立場 → 介護=退職・離職。不可欠な立場 → 介護と仕事の両立を容認されやすい。つまり、会社にとって必要不可欠なポジションであれば会社が引き留めるか時間を作ってあげます。これは冷たい現実ですが、会社は「情」ではなく役割価値で判断します。親孝行できるかどうかは、人間性より、社会的信用と代替不能性が大きく影響します。実は親孝行とは、親を安心させる行為。子が自立し、生活を崩さない姿を見せることでもあります。多くの親は、「子の人生が壊れるくらいなら、施設に入る方がいい」と本心では思っています。だから、自己犠牲だけの介護は、必ずしも親孝行ではない、という事実も忘れてはいけません。経済的目標として、介護費用を「自分の生活と切り離して」捻出できる。目安:月20万円 × 数年を想定しても破綻しない家計。親の年金+自分の支援で回る設計。「大金持ち」ではなく、崩れない中流が理想です。仕事上の目標として、「この人が抜けると困る」と思われる専門性。管理職でなくてもよい(属人性が重要)在宅・裁量・相談が可能な信頼関係。地位より信頼、肩書より実績。「全部自分が背負わない」覚悟も必要です。施設・外注・制度を使うことへの罪悪感を捨てる。兄弟・行政・専門職に任せる判断力。親孝行とは「抱え込むこと」ではなく 最適解を選ぶ冷静さ。最終的な結論、親孝行とは、気持ち × お金 × 仕事 × 判断力、が同時に揃ったときに、初めて成立します。親孝行のために今できる最大の準備は、「自分の生活を壊さない力を持つこと」です。これは冷たい考えではありません。一番、長く親を安心させられる、現実的な優しさです。
著者 砂川昇建




