《職場の教養に学ぶ》
お題:珊瑚の役割
2025年8月3日(日曜)
【今日の心がけ】自然の役割を知りましょう
砂川昇建の思うところ
珊瑚(サンゴ)は、動物であり、植物ではありません。具体的には、「刺胞動物門(しほうどうぶつもん)」に属するポリプという小さな動物が集まってできた群体です。多くのサンゴは、自分たちの体の中に褐虫藻(かっちゅうそう)という光合成を行う藻類を共生させています。褐虫藻は太陽光で光合成をして栄養を作り、サンゴに提供します。サンゴはその見返りとして、住処(サンゴ体内)と二酸化炭素を提供します。近年の温暖化で珊瑚が死滅しています。海水温が1~2℃上がると、サンゴはストレスで褐虫藻を体内から追い出してしまい、透明になり「白く」見えるようになります。これを白化現象と呼びます。白化したサンゴは褐虫藻を失って栄養供給が途絶え、やがて死滅します。近年、温暖化に強いサンゴの育成に向けて、さまざまな研究と取り組みが進んでいます。高温に強い個体(耐熱性を持ったサンゴ)を見つけて、それを人工的に交配・育成することで、より強いサンゴを育てようという試みです。熱に強いタイプの褐虫藻をサンゴに導入することで、共生藻の変更によって耐熱性を高める研究も行われています。・沖縄やグレートバリアリーフなどでは、人工的に育てたサンゴを海に移植するプロジェクトが進んでいます。3Dプリンターでサンゴ礁の「骨組み」を作って、そこにサンゴを定着させる実験もあります。復活できると良いですね。太古の地球に酸素をもたらした「シアノバクテリア」と「褐虫藻」は似てますが、褐虫藻の中の葉緑体は、実は、シアノバクテリアが起源と考えられています。人間の細胞にも「ミトコンドリア」が共生しており、酸素を使ってエネルギーを生み出す作用は「ミトコンドリア」のおかげです。細菌やバクテリアも奥が深いですね。
著者 砂川昇建




