《職場の教養に学ぶ》
お題:語彙を豊かに
2026年9月17日(木曜)
【今日の心がけ】言葉の精度を高めましょう
砂川昇建の思うところ
語彙力とは「言葉をたくさん知っていること」ではない。語彙力というと、難しい熟語をたくさん知っていることだと思われがちです。しかし神髄はそこではありません。自分の中に生まれた感情や考えを、最もふさわしい言葉で切り分けられる力。これが本当の語彙力だと思います。 例えば、何でも「やばい」で済ませれば、「この料理、やばい」「この景色、やばい」「あの人、やばい」「仕事がやばい」で全部終わります。しかし実際に心の中で起きていることはまったく違います。料理なら「芳醇だ」「滋味深い」「後を引く」。景色なら「壮麗だ」「息を呑む」「風情がある」。人物なら「気骨がある」「奥ゆかしい」「飄々としている」。仕事なら「切迫している」「難航している」「予断を許さない」。言葉が増えるということは、世界の解像度が上がるということです。語彙が増えると「考える力」も深くなる。人間は、言葉によって他人に伝えるだけではありません。自分自身とも言葉で対話しています。「今日はなんとなく嫌だ」で終わる人と、「疲れているのか」「不安なのか」「億劫なのか」「飽きているのか」「失敗するのが怖いのか」と自分に問いかけられる人では、その後の行動が変わります。参考にするべきは、大和言葉です。大和言葉には、漢語とは違う柔らかさがあります。「感謝します」も美しいですが、「ありがたく思います」。「配慮する」なら、「心を配る」。「忍耐する」なら、「じっとこらえる」。「愛着がある」なら、「いとおしく思う」。「時間を共有する」なら、「ともに時を過ごす」。大和言葉には、理屈を説明するというより、情景や心の動きを相手の胸に届ける力があります。語彙力とは、例えば人間が数の概念がわからねいと、牛がたくさんいるね、としか考えません。しかし数の概念が分かれば、牛が52頭いるね、と考えます。つまり語彙力とは言葉の問題ではなくその人の中身の問題ですね。
著者 砂川昇建




