《職場の教養に学ぶ》
お題:初心忘るべからず
2025年5月23日(金曜)
【今日の心がけ】経験を積みましょう
砂川昇建の思うところ
世阿弥の「初心忘るべからず」の話です。世阿弥(ぜあみ)の有名な言葉「初心忘るべからず」は、現代では「初心者のころの謙虚さを忘れるな」と理解されがちですが、実際にはそれよりもずっと深い、段階的・哲学的な意味があります。この言葉は、世阿弥の芸術論書『風姿花伝(ふうしかかでん)』の中に出てきます。彼はこの中で、「初心」とは一つではなく、人生や芸の各段階に応じて常に“新たな初心”が生まれると述べています。世阿弥は、成長のプロセスに応じた3つの初心を説いています。年少の初心(若年の初心)。 盛りの初心(実力がついたときの初心)。老後の初心(円熟期の初心)。つまり、「初心」とは、常にそのときの“自分に必要な学び”に向き合う姿勢です。一度だけのものではなく、「一生つきまとう“意識の原点」です。まとめると、「初心忘るべからず」= 一度きりの“最初の心”ではなく、あらゆる段階における“真剣な向き合い”の姿勢を忘れるな 。それが、世阿弥の本当の教えです。
著者 砂川昇建




