《職場の教養に学ぶ》
お題:自然とのつながり
2025年12月3日(水曜)
【今日の心がけ】自然の働きに感謝しましょう
砂川昇建の思うところ
道元禅師の「生かされている」という教えは、単なる謙虚さや道徳ではなく、存在そのものの在り方を根底から捉え直す深い洞察です。私たちは普段、私が息をしている、私がご飯を食べて生きている、私が努力して生き残っている、という 「自分が主体で世界が従う」 感覚で生きています。しかし道元はこれを見事に否定します。あなたが生きているのではない。あなたは、あらゆる縁により“生かされている”。道元は、宇宙・自然・他者・時間・歴史、あらゆるものとの 相互依存 を直視しました。あなたが呼吸できるのは、空気があり、肺が動き、その肺も何億年もの進化の産物でさらに生まれてきたのは親がいて親の親がいて…この連鎖は無限に続きます。その結果、道元はこう見抜きました。私は「独立した私」ではなく、無数の因縁が束になって一時的に現れた“現象”である。だから「自分の力だけで生きている」という考えは、現実に即していない、と。感謝は「頑張ってするもの」ではない。理解が深まるほど、自然に湧き上がる状態になります。誤解されがちな点ですが、「生かされている」は「自分は無力である」とは違います。周りと共に「今の自分」が成り立っている。だからこそ、安心して自分の道に励める。これは禅における「安心立命(あんじんりつめい)」です。安心とは、世界の中に自分の居場所があると知ること。そして、安心とは短純に存在するだけでなく、周りに役立ち認められる事で得られるものでなければなりません。
著者 砂川昇建




